Airwipp Challenge 2018 レポート

こんにちは、トレポス編集部です。今回はスウェーデンのヘルシンボリにて開催されたAirwipp Challenge 2018 の様子をお送りします!

Airwipp Challenge とは?

ここ、スウェーデンでは11月8.9日にかけてAirwipp Challenge 2018が開催されました。Airwipp Challengeはパルクール/フリーランニングの大会で、Redbull Art of Motionに続く規模のイベントです。世界中からトレーサーやフリーランナーが集まり、2日間をかけてフリースタイルのコンペティションが行われました。

Airwipp ChallengeはMarcus GustafssonとFilip Ljungbergの2人によって2012年の夏からスタートし、現地の行政のサポートや、スポンサーも増えることで、大会の規模も年々大きくなっています。また出場するアスリートの国籍も多様化しています。大会会場においても、2013年頃まではヘルシンボリの宮殿にて開催され、現在はヘルシンボリアリーナに移しています。

大会の部門は3部門に分かれており、11-15歳が出場できるユース部門、女性部門、メイン部門があります。ユース部門と女性部門は事前にビデオ審査があり、その審査の結果で現地で行われる本戦への出場アスリートが選出されます。メイン部門は1日目に会場で行われる現地審査にて、本戦出場のアスリートが選出されます。
※前回大会の決勝進出者6名は予選はありません。

全体の流れは予選(メイン部門は現地・ユース部門と女性部門は動画選考)→ファーストラン→6人による決勝で、ファーストランと決勝は90秒のフリースタイルでステージ上を動きます。

メイン部門の現地予選・すべてのファーストラン・すべての決勝がオンライン中継され、Youtubeで見ることができます。今回の記事では、オンライン中継では味わうことができない部分も含めてお届けします。

Airwipp Challenge 2018

Airwipp Challenge 2018は以下のスケジュールで行われました。

1日目
メイン部門現地予選
ユース部門ファーストラン
女性部門ファーストラン
ユース部門決勝
表彰
2日目
メイン部門ファーストラン
女性部門決勝
メイン部門決勝
表彰

ホスト・審査員

今回のホストはTEMPESTからJesse La Flairと、昨年に引き続きスウェーデン語の司会をFilip Ljungbergが担当し会場を盛り上げました。


キャプチャ:Airwipp Challenge 2018 Final – Youtube

審査はフロー(Flow)をMarcus Gustafsson,創造性(Creativity)をAnan Anwar,正確性(Execution)をNico Wlecek,難易度(Difficulty)をGabriel Nunezが担当しました。

ユース部門

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ユース部門は昨年よりもさらにレベルの高いアスリートが集まり、スウェーデンのアスリートが多かった昨年に比べ、ヨーロッパとアメリカからの参加者も増えました。また、スポンサーの支援を受けて出場をしているアスリートもおり、若いアスリートもそのように支えられながら出場する大会になっていることを実感することができました。

90秒のランの終わりはこのように終わりの合図を出します。

決勝出場者の6人のうち5人は初の決勝出場。

昨年は決勝に進めなかったアスリートも一年で大きく成長して決勝進出を果たすアスリートも中にはいました。

まだまだ成長期の彼らが、メイン部門で活躍するアスリート達と同じようにお互いを称え合う姿は、リスペクトの文化がしっかりと引き継がれていることを感じさせます。

女性部門

 

去年から追加された女性部門ですが、今年も事前ビデオ審査で選出されたアスリートなど16名が集まりました。昨年の優勝者のElise、ベテランのSydney、フランスの15歳 Lilouなどに加え13歳のNoaなどの注目アスリートが集まりました。

左から 泉ひかり, 山本華歩

そして、日本からは山本 華歩泉 ひかりが出場。

 

 

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Congratulations to the winners for the women competition!!! 1. @sydneyolson1 2. @noa_diorgina 3. @elise.bickley #airwippchallenge

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女性部門では他部門と異なり、スタイルの違いがはっきりと見られるシーンがありました。難易度の高い技を中心に組み合わせるフローから、脚力を活かしたスムーズさと基礎を中心にしたフローなど。難易度の高い技をこなすアスリートが少ない女性部門ならではの、スタイルを活かしたランを見ることができました。

メイン部門

メイン部門には前年と同様に有名チームからも出場者が集まりました。現地予選を勝ち抜いたアスリートの中には、FarangからValtteri, Storm Freerun から Edward Scott, その他にもJiyo, The Motus Projectsなどからのアスリートが名を連ねました。また、アジア圏は中国から He Yiyu 参加しました。またKevinなど前年のユース部門決勝進出者なども年齢制限が外れ、メイン部門への参加になりました。


ファーストランではランを中断するフェイルが2度ほどありました。2人目のフェイルでは顔面を強打してしまい、10分以上中断しました。

 

スタッフの話によると、Airwipp Challengeでは現地のメディックチームが待機しているとのこと。※その後2人とも病院で治療を受け、翌日には無事を知らせる投稿がAirwippのFacebookにて公開されています。

決勝には大きくスコアが開く展開となり、ポーランドのKrystianが優勝、2位にEdward Scott, 3位にCharlesでした。

1位が発表されたと同時に始まるシャンパンかけ

また、全出場アスリートの中で最高得点を獲得したKrystianには 2019年のRedbull Art of Motion への出場権を約束するゴールデンチケットが渡されました。

 

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Such a beast ant totally deserves to be the winner!!!! @3runcoval congratulations for taking 1st in #airwippchallenge

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ステージ以外の様子

昨年よりもさらに国際色が豊かに

今年もAirwipp Challengeの大きな魅力は国際色の豊かさでした。世界中からアスリートが集まった2018年大会は、メイン部門の現地予選に75人参戦し、女性部門にはビデオ予選を通過した14の国から16名の有力女性アスリートが会場に集いました。

喜んで!と写真撮影に応じるFarangのJason Paul

また、アスリート以外にもFarang, The Motus Project, TEMPEST, Storror などの世界中のチームのメンバーが集まる会場はAirwipp Challengeの別の魅力でもあります。観客の小さなトレーサー達と交流をする姿は、InstagramやYoutubeとはまた違う魅力を感じさせます。

女性部門決勝が2日目に

今年は前年に比べ数点の運営上の変更がありました。その中でも女性部門の決勝が1日目から2日目に変わった点は、見る側にも出る側にも大きく影響しました。

女性部門は前年の2017年から新しく設立された部門で、1日目に連続でファーストランと決勝が行われました。しかし、ファーストランと決勝の間には休憩時間など用意されておらず、決勝進出が決まったアスリートは十分に時間が与えられないまま2日目のランに挑む形になりました。

今年はそのような点もスケジュールの変更により女性部門が2日目に変更され、かつ他部門と交互に行われたことにより改善されました。また、観客にとっても一番盛り上がる2日目にさらに多くのアスリートを見ることができるという嬉しい変更でした。

エンターテイメントを兼ね備えた子供も大人も楽しめる大会

Airwipp Challengeは他スポーツの国際大会などとは違い、アーバンスポーツ特有のエンターテイメント演出に力が入っています。入場ゲートは赤色にライトアップされており、会場から響いてくる音楽はまるでコンサートに来たのかな?と思う程です。

また、各アスリートがランをスタートする際に、ホストのJesseが「DJ SPINNNNN!」の掛け声と共に会場の地面を揺らすほどの音楽が流れ、90秒のフリースタイルが始まります。※観客には大きな音に弱い子供も多いので、耳栓がキオスクで買えるようになっています。

ロビーをでると、Airwipp, Jiyo, TEMPEST, The Motus Projectなどのパルクールブランドがグッズ販売をしており、休憩時間などに人が溢れました。

世界中のパルクールブランドがグッズ販売のブースを設けていました!

閉会後はサイン会で賑わう

すべてのランが終了し、表彰後のシャンパンがけが終わると2日目に出場したアスリートのサイン会がロビーで行われます。

途中からスタッフに急いでサインするように言われながらも、観客の紙や洋服、そして求められれば顔にまで時間をかけてサインして交流する場面がありました。

パルクール/フリーランニングの大会

パルクールとフリーランニングの競技化は、今年は特に議論が行われました。Airwippの他にも世界規模の大会はありますが、どうしても運営・採点基準などではまだまだ課題があるのが現実です。その中で長い時間をかけて積み重ねていき、人々に愛されるイベントとなっていくのもパルクール/フリーランニングの一つ側面なのかもしれません。

左 Frost Fresh氏 右 DKこと Dimitris Kyrsanidis

キャプチャ:Airwipp Challenge 2018 Final – Youtube

メイン部門ファーストラン後のDKのインタビューにて、当日の実況を務めた Frost Freshはこのような質問しました。「多くの人々は、”コンペティションで競うこと”と、”トレーニング、ジャム、ビデオ撮影などをすること”の違いの認識ができません。その中で、多くの人にインスピレーションを与え、コンペティションを体験してきた身として、まだ小さな子どもたちにアドバイスはありますか?」との質問に対してDKは、「まず、安全にすること、そしてオリジナルであること、今日は昨日に比べて成長するし、明日に比べたらまだダメだけど、オリジナルであることが大切。」と答えました。

Be original, That’s my main thing. You better than yesterday worse than tomorrow. But Stay original. – DK

Redbull Art of Motionが次回の準備に向けて開催されなかった2018年のAirwipp、来年はどのようなトレーサー/フリーランナーを見ることができるのでしょうか。以上、スウェーデンはヘルシンボリよりトレーサーズポスト編集部がお送りいたしました。

取材・編集 : 栫井・東畑・泉