13歳のイギリス出身Elise Bickleyはその日、世界で一番の女性トレーサーになりました。
エリスが1位に輝いたのは、世界規模のパルクールの大会 Airwipp Challenge 2017 女性部門。13歳という最年少でありながら、その圧巻のパフォーマンスは会場を沸かせました。
パルクールは「危険だ。怪我しないの？」と思われがちです。しかしパルクールは自らの体を駆使し、いかに「効率よく」移動できるかを追求し、そしてトレーニングを繰り返すことで自らの能力を含め自分自身を理解し、成長していくことが本質なのです。そして、トレーサー（パルクールをする人）は何かに挑戦する時、常に自分の実力と環境を比較し、安全性に重きを置いているのです。
トレーサーの中にはパルクールの技術を活かし、スタント界で活躍する人もたくさんいます。また、Ampisoundなどは映像制作の技術を活かして、映像クリエイティブとパルクールをかけ合わせ、世界中に映像を発信しています。そんなパルクールを通して得たスキルが社会の中で価値が出てきている現代社会。13歳の世界チャンピオンElies Bickleyのルーツやこれからの彼女のビジョンに迫ります。
Elis Beckley
エリスがパルクールを始めたのは、2015年。パルクールを始める前は家の家具と家具を飛び回り母親から怒られていました。そこで、両親は家の中を飛び回るのをやめさせるために、小さなパルクールジムへ彼女を通わせました。
彼女が住むイギリスにはChainstoneGymなどを筆頭に、パルクールを始める環境が充実しており、かつ彼女の先天的な才能によって2年のトレーニングを経て彼女は女性の世界チャンピオンにまで成長しました。
13歳の彼女が、2012年から続くパルクールの大会として世界的にも有名なAirwipp Challengeの舞台に立つことを決めた理由は、純粋に世界中の女性トレーサーに会ってパルクールを楽しみたいという理由から。彼女は「パルクールの大会に出るときに、競技的側面だけに気を取られてはいけない」とインタビューで語りました。
チャレンジとリスクがパルクールのモチベーション
誰もが最初から、難しい技を決めることが出来るわけではない。それはエリスも同様です。エリスは「チャレンジとリスクが私にとってモチベーションになる。リスクあるチャレンジでも、それを達成することが大好き。初めて挑戦するトリックは上手く行かないけど、それが上達していくことが大好きなの。」と答えました。
また、チャレンジする時のルールとして、「必ずそれが自分の能力に見合っているトリックしかしないこと、確信が持てない限り普通の硬い地面では挑戦しない。」と語りました。
女性と男性の壁が薄くなる。
パルクールはいままで、女性のトレーサーが少ないことが一つの課題でした。しかし時代は進み、TempestのSydney Olson, Luci Romberg やStorm FreerunのLynn Jungが世界で活躍することで、女性トレーサー人口は増え始めました。エリスもTempestのSydneyに憧れており、インタビューでは「My hero in parkour is Sydney Olson because she inspires me so much and is an incredible athlete」と答え、彼女にとってSydneyはヒーローであり、エリスを魅了し続けてくれる大きな存在であることを教えてくれました。
Airwippでエリスが魅せた、パワフルで挑戦心に溢れているフローは「女性は男性に負けていない」と思わせるものでした。女性のパルクールシーンは次の時代に進み始めている。そう確信できる瞬間といっても過言ではないでしょう。
パルクールはエリスを新たな世界に
Airwippが終わった後、彼女は多くのメディアで取り上げられました。InstagramなどのSNSでも大規模に拡散され、様々なオファーや挑戦の機会が彼女に舞い込んできていました。
しかし、彼女はまだ弱冠13歳、パルクールの世界から離れれば学校に通う普通の女の子です。「やっぱり周りに完全に溶け込むことは難しいの。なぜなら、私はトレーニングがあるし、学校や社会とは違うことをしているから。時々、友達と遊んだりすることが出来なかったりするけど、でも私は気にしてはないよ。」エリスは学校生活や友達のことをこのように語ります。幼いながらも、パルクールを愛し、そしてアスリートとしてまっすぐに生きるその様から彼女のプロフェッショナルな面を感じます。
世界中で議論が巻き起こり、様々なイベントが生まれ続けるパルクール。そんな中、小さな体でダイナミックな動きを見せ、人々を圧感したエリスには最後の質問にこう答えます。
What is parkour for you?
My life 🙂
これからも、Elise Bickleyに注目です。
